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【i.beyond】説明会&プレワークショップを終えて感じたふんどしの深イイ話。
2016.12.17
ふんどしやさしいマンの、のだぱいです。
株式会社ふんどし部という会社で取締役をしています。
乾燥肌です。
前回の投稿でお話ししたように、今後イノベーション人材を渋谷の街に輩出するため、BEYOND CAFEというところで学生にイノベーションの方法論を教える、という「東大式イノベーション創造プログラム『i.beyond』」を始め、イノベーションについて考える機会が益々多くなってきています。
イノベーションイノベーションうるさくてすみません。
いのゔぇいしょん。
ちなみに、「i.beyond」の「i(アイ)」はいのゔぇいしょんの「i(アイ)」です。
いのゔぇいしょん。
というわけで、先日「i.beyond」の説明会並びにプレワークショップを行ってきました。
遅刻やら欠席やら早退やらなんやかんやいましたが、全部で十数名の学生さんに来てもらいました。
早速ですが、その様子と方法論の一部をここで紹介しようと思います。
導入
ここでは、既存の技術やサービスをヒントに、どのように新しいアイデアを創出するかの導入を行いました。
プレワークショップのタイトルは「0.1から1を発想してみよう」とあります。イノベーションという文脈ではよく「0→1(ゼロイチ)」と語られることが多いことに対して、アイデアが何もない無の状態から生まれることはなくて、多くの発明やイノベーションは注意深い現実世界の観察から得られたヒントを元に、すでに実体としてある「0.1」の情報を掛け合わせて生まれる、生み出すことができる、という私の考えを表したものです。
例え話として最初に紹介したのが、今や誰もが欲しがる「ダイソン」の掃除機のお話。世界で初めてサイクロン式の家庭用掃除機を開発し、吸引力の変わらない掃除機として一世を風靡。イノベーションの事例としてよく引きあいに出されるわけですが。これは創業者のジェームズ・ダイソン氏が道端を歩いていてふと天才的に閃いたわけではなく、たまたま製材所で発見した、おかクズを集塵する円錐型の集塵機を見て、これを家庭用掃除機に応用しようと考えたのが発明の始まりだったと言います。
彼は製材所を注意深く観察したことで、それまでの掃除機の当たり前だった「フィルターで濾して取る 」ことで綺麗にする、という概念を崩し、「サイクロン技術を用いて空気と屑を分離する」という方法を用いることを思いついたわけですね。
ちなみに、自己紹介した時にスライドの画面が暗くて、僕がAV男優みたいだという話題で持ちきりでしたが、生徒さんはここら辺の話は聞いてくれていたのかな?
事前課題の共有
既存の製品やサービスからヒントを得るために、要素分解して抽出する作業を事前課題として割り当てていました。
最先端のテクノロジー、ヒットした商品、話題となったWEBサービス、人気の店舗ビジネスなどについて、情報をまとめた「アイデアマテリアル」を共有し、それぞれ学生に調べてもらって、人間にとっての「価値(=目的)」と、それを実現するために用いている「方法(=手段)」は何か、分析して抽出してもらいました。
また、ここでは、一つの事例をとっても技術側から見た時と人間から見た時で存在定義が異なること、見る人によっても感じる価値が異なることがある、ということを強調しました。
そろそろ気づいたと思いますが、僕はこう見えて基本しゃべるとき「割とテンションが低い」です!
冷静沈着、鬼の心を持つふんどしマンと呼ばれています。あしからず。
アイデア強制発想の練習
そして、今度はアイデアを強制的に発想してみる練習を、このBEYOND CAFEの教室を使って行いました。
すなわち、製品事例の分析であぶり出した「手段」側の要素(機能や形状)をポストイットに書き写して手に持ち、席を立って教室中のあちらこちらを動き回って、目に入るモノに手当たり次第機能・形状を付加してみて、何かアイデアがないかどうか考えて見る、というものです。
ただ単に妄想の中で考えるのではなく、実際に存在するモノに、ポストイットを貼って無理やり条件を規定することで、頭からアイデアをひねくり出さないといけない、というブレインストーミング体験をするのが肝です。
そして、一人で考え込むだけでなく、みんなのひらめきをシェアしてひと段落。どんなモノにどんな機能を付加してそのアイデアが生まれたか、も交えてアイデア共有してもらいました。
要素の絞り込み
次は本番です。
既存の事例を調査することによって「手段」の要素群と「目的」の要素群を集めましたが、今度はその手段と目的を様々に組み替えてみて、今までにはない、新しい「手段目的関係」を生み出します。
そこで、これから最終アイデアの発想に向けて用いる、有望な要素を3つに絞ってもらいました。
すなわち、今まで出してもらった手段と目的の中から、ピンときたものや面白いと思ったものをそれぞれ3つずつグループで話し合って選びました。
強制発想
続いてはこのワークショップの核となる、手段目的関係の強制発想です。
選び出した3つの「手段」を縦軸に取り、「目的」を横軸にして3×3のマトリクスを作ります。
そして出来上がった全ての9象限において、新しい製品やサービスのアイデアはないか、個人&グループで発想・議論しました。
ここではまず質よりも数が大事なので、ひたすら手と口を動かし、他人のアイデアに乗っかりながらポジティブな姿勢で取り組む事を強調しました。
また、全体の進捗確認とアイデアのインタラクションの促進のため、作業途中での共有を幾度か行いました。
アイデアの収束
さて、ひとしきりアイデアが出そろうとかなり時間も経っています。
今までは発散のフェーズでしたが、今度は最終発表で使うためのアイデアを一つに絞る「収束」の作業に移ります。
これがまた発散と同じくらい大事で、慣れてないと難しいので、アイデアを絞りこむための判断基準を少し導入しました。
すなわち、新規性・インパクト・実現可能性という3つの軸ですが、どれもバランス良く満たしているアイデアがいいというわけではなく、今回は単純に「好き嫌い」も含め、1グループ1アイデアに絞っていただきました。
アイデアのアウトプット:スキット(寸劇)による発表
最後に、1グループずつ、最終的なアイデアをスキット(短い劇)にて発表していただきました。
これは実際にその製品やサービスがある世界で、人間にとってどのように役に立つのかを、そのユーザシーンになりきって演じてもらう、ということです。
本来であれば、アイデアの概要や顧客の価値について模造紙を用いた説明もセットにしてもらいたかったのですが、今回は時間が押してしまっていたので、スキットのみによる発表といたしました。
概要を紹介すると、C班は「脳内の感情が自動で反映される」という目的と「人間の体に装着する」という手段を掛け合わせて、「可変式ハイヒール」を開発したようです。
こちらは、仕事の帰りに疲れた時、就活の時、アウトドアやショッピングの時など、様々な場面に応じてヒールの高さを調整できる靴で、多くの参加者が「おお〜欲しい!」と唸り声をあげていました。
シンプルでありながら、かなり多くのニーズがありそうで、かつ今までに聞いたことのないアイデアで、具体性を高めるための建設的な議論も生む、とてもいいアイデアだったと思います。
実際に可変式のギミックはどのように実装するのか詳細も詰めて、デザイナも巻き込んで本当におしゃれで便利なものができれば、このプロダクトだけで起業できそうな、可能性を感じるナイスアイデアでした。
B班のアイデアは「色が変わる結婚指輪」で、電子シートの技術を応用して、女性の好みやタイミングに応じて購入後に色を変えることができる宝石の指輪ということで、ものの販売や製造のあり方自体を覆しそうな、示唆に富んだアイデアでした。
発想に使った手段は「カラフルでドリーミーな色合いを実現」、目的は「買ったことを後悔しなくて良くなる」だったようです。
現実世界に落とし込むには、「結婚指輪に対する無垢透明の価値観」へのチャレンジであり、いかに社会に受容されるかが課題となると思います。
私は一歩抽象側に戻って「購入後に見た目や色を変えられる」という考えはとても良いと思っていて、その方法は「塗る」「剥がす」「付け替える」などいろいろなやり方があって、それを実現する技術を探す中でもう一歩アイデアが深まりそうだなと感じた事、あとは「結婚指輪」以外に応用するともっといいものが見つかりそうだなと感じました。
他の班からは「ランドセルが相性いいのではないか」という共感できる意見もあり、これから派生していろいろな良いアイデアが出そうです。
また、宝石の色は構成原素の組成や構造によって決まるもので、これを電気なり磁力なりでコントロールしてないぶで物理的・化学的変化を変えることによって宝石そのものを変えてしまうような技術の開発も面白そうだな、とこのアイデアを聞いて考えました。もうどこかで研究やられてそうですね。
C班は、体重移動によって身体の別の部分を拡張・コントロールできる製品を考案し、それを用いて手足の震えや性生活の質の向上、あるいは居眠り運転の防止に役立てる、といった案でした。
アイデアマテリアルの「セグウェイ」から「体重移動によって操作」するという手段を抽出し、原宿で人気のわたあめ屋の「TOTTI CANDY FACTORY」から抽出した「目立つことができる」という目的と掛け合わせて強制発想したようです。
体重移動によって機会を操作するという概念はこれまでも世の中で多用されてきましたが、体重移動によって機械を介して自身の体の別の部位を動かす、という概念はとても斬新で新しいと感じました。
所感
発表までの時間が短かったこともあり、各アイデアはまだまだ荒削りでもっと深めること、上手に表現出来る余地があると感じられましたが、トータル2時間で行った割には、普段なんとなく考えても浮かんでこないような斬新な切り口のアイデアが出てきたと感じました。
グループでのワークショップをする意義はそこにあります。
学生の皆さんにも、自分の思考を広げるいい機会になったと思います。
抽象的な概念や手法にしっかりついてこれた学生さんの実力も感じられて、しっかり手応えを感じた次第です。将来のふんどしマンの可能性を感じました。
何より、皆さん真剣に、そして楽しそうに取り組んでくれてとても良かったです!
幸いなことに、ワークショップ後にとったアンケートでも、「頭を柔軟に使う機会を持てて楽しかった!」「是非また受けて思考の幅を広げたいです!」と言った感想とともに、満足度の高い評価をいただけました。
と、久しぶりに長々と話してしまいましたが、ここまではまだまだ序の口。
来年から始まる本プログラムでのワークショップでは、一つのテーマにつき三回に分けて、じっくりと頭の使い方やデザイン思考について実践的に学びます!
まさに今、プログラムを通して中心的に参加するコアメンバー及び、1/13から始まる第一回ワークショップ「AI時代の未来を洞察する」に参加する学生を募集しています!
詳細&申し込みはこちらから。
東京大学i.schoolや博報堂などのデザイン系ファームでも実践されている手法に触れる、他のセミナーなどでは得られない学びを先取りしたい、意欲的な学生さんの参加をお待ちしています!
服装は自由ですが、できたら中にふんどし穿いてきてくださいね!
アディオス!
p.s. イベントを終えて・・・。
イベント前と後でふんどしマンの数が異なるという事例も起きました。
いのゔぇいしょん。